SSAマガジン

【インタビュー】株式会社IHIインフラシステム 様 現場

全国各地を訪問し、インタビューをさせていただく「日本全国SSAインタビュー」。
今回は株式会社IHIインフラシステム 東名高速道路皆瀬川橋(神奈川県足柄上郡山北町)の監理技術者 柳川 康行様(以下 柳川さん)、監理技術者 植浦 歓共様(以下 植浦さん)へ インタビューを行わせていただきました。

現場情報

  • 現場の特徴:アーチスパン200m、アーチライズ40m、皆瀬川からの高さは80mを超える、側径間合わせて5径間で橋長300m超、耐震補強及び塗替塗装を行う工事
  • 足場面積:吊足場(床面)約10,700㎡ 、吊足場(朝顔)約4,000㎡
  • パネルの枚数:2.0mパネル1258枚、3.0mパネル555枚、3.85mパネルMR 1503枚、3.85mパネルMS 724枚
  • 仮設日数:約660日(2022年5月24日時点)
  • 予定仮設期間:2020年7月~2023年6月

 

スパイダーパネルを使用した現場

――とても長大で大規模な橋梁の現場ですね。こちらの詰所に向かう車の中で大興奮して下から写真をたくさん撮ってしまいました。

――お2人はよくこのような大きな現場で工事に携わっているのでしょうか?

柳川さん:

建設現場で仕事をするようになって20年くらい経ちますが、
NEXCOさんの現場に携わらせていただくと、
かなり大規模な現場であることが多いかなと思います。
いろんなところでいろんな足場を使っていますが、最近パネル足場を使うことが多いなというのは実感しています。

パネル足場は安全性が高いのと、あと下に回らなくても上から架けていけますよね。
その点については施主様からのウケもいいですし、、
足場が完成したときに綺麗に見えるというのも使う第一の理由としてありますが!
道路の上に足場を架けたりするときなんかは見栄えが良いし、あとすき間がないじゃないですか。
なので施主様からも、「できればパネル足場で組んでほしい」という要望をいただきます。

 

――最近はパネル指定の現場も多いと聞きますが、やっぱり美観というのはNEXCOさんの現場に関わらず重視されるものでしょうか?

植浦さん:

足場内は特にそうですね。美観というよりも、作業性も含めて足場内の設備 整理整頓が重視される傾向にあります。
どうしても在来工法の吊り棚足場だとチェーンの数が多くなるじゃないですか。
やっぱりパネル足場のほうが作業がしやすいですよね。

――これまでにスパイダーパネルもVMAXも使っていただいたのでしょうか?

植浦さん:

VMAXも使ったことがあります。首都高さんの現場だったのですが、半分がVMAXでしたね。
特殊な現場だったので、職人さんも半分はタカミヤさん、半分は林工業さんにお願いしました。

 

植浦さん:

パネル足場は、とりあえず1枚取り付ければ次のパネルを前に進めやすいですよね。
あとは、パネルだと計画が立てやすいと思います。
何枚搬入したら何m進むとか。

柳川さん:

最近は「高所作業車を使って安全に足場を組み立てましょう」っていう流れにはなってきていると思うんですけど、
今回の現場ではそれができないので。
こういった場合はパネル足場を使ったほうが良いですよね。

安全な作業場をつくるために

 

――それではスパイダーパネルを施工するうえで、特に安全面に注意して行ったことを教えてください。(安全面に気を付けるのはもちろん大前提だと思いますが!)

 

柳川さん:

パネル足場って寸法が決まってるじゃないですか。
でも寸法が決まっていても、例えば脚周りなんかはどうしても隙間ができてしまうときがあると思うんですけど、
そこの仕舞い付けをあらかじめちゃんと決めておかないと、
進めていくうちに開口部ができてしまう原因になりますよね。

構造がすこし変わったりだとか、アレンジが必要な場面では
「ここまで進んだら、ここから控えのチェーンを取っておこう」とか
「ここは補強で単管パイプを流しておこう」とか、
通常であればころばしだけ流すところを「角パイプを下に引いておけば安定した通路として使えるな」とか
安全に作業できるよう、気を付けていますね。
システム足場だけどそれなりの自由度があるのを活かして、
そこに合った組み方ができないか考えて足場を架けるようにしています。

――職人さんの手助けと、現場の判断によって、足場の組み方を検討されているんですね。

植浦さん:

職人さんからの助けが大きいですね。
職人さんはスパイダーパネルを日々扱っているので、
「ここはどうしよう」「あそこはどうしよう」というのを分かっていらっしゃる。

――これまで様々な現場でスパイダーパネルを使っていただいたとのお話でしたが、どういった部分がデメリットに感じられますか?

植浦さん:

やはり重量を軽くしてほしいですね。
単純にそう思うだけなので、他の製品と比べて「こんなの重くて使えないよ」とか、そういう風に思っているわけじゃないんですけど。
あとは使っているうちに面板がぼこぼこになってしまう点ですね。
これに関しては私達使う側ももっと気を付けていかないといけない部分ではあると思うんですけど。
でもこのくらいですね、デメリットに感じている部分は。

 

橋梁補強工事に懸ける想い

 

――それでは最後の質問になりますが…お2人は橋梁補強工事の仕事をしていて、どんなときにやりがいを感じますか?

植浦さん:

新設の工事に比べると、工事を始める前と後で風景にあまり変化がないので
やり切った感を感じにくい仕事ではあると思います。
でも地震や災害からインフラを守っているという思いはあります。
縁の下の力持ちのような感じですよね。一般の方はほとんど気付かないと思うし。

柳川さん:

難しいですよね。
まあでも社会に貢献できることを、自らの喜びに変えていくしかないと思います。
例えばいま補強している皆瀬川橋は完成してから30年経っているものですよね。
今日までの30年の中で、阪神淡路大震災が起きたり、他にも様々な災害が起きたりしたと思います。
そのたびに設計基準が見直されて変わってきました。
昔のやり方を否定するというよりは、現在の状況に合わせていこうねっていう動きだと私は考えているんですけど。
ただ、そうしたときに何もしなかったら壊れてしまう橋も、
「いまなんとか補強しておけばあと50年もつかもしれない」ってなるんだったら補強したかいがあるのかもしれない・・・
という風に実感します。

植浦さん:

特に今回の現場は高速道路なので、走っているときは気付かないですよね。
だから目立たない仕事をしているけど、何か災害とかが起きたときに
「ここがもったのは自分たちのおかげだな」って思ってやるしかないですよね(笑)

インタビュー後、現場も案内してくださった植浦さん(写真左)と、柳川さん(写真右)

 

昔の方がつくられたものを直して、未来につなげる・・・大変だけど目立たない、だけどとても重要なお仕事だなと感じました。

私はこのような高い位置の橋梁現場に初めて入らせていただいたのですが、少し怖くて足がすくみました。
高い場所は得意な方でしたが、展望デッキから見える景色と、川から80m上に架けられている橋梁の足場から見える景色とではやはり違いますね。
夏も冬も関係なく現場で働く皆さんが安全に作業できるよう、これからも協会として「システム吊り棚足場の安全な使い方」の普及に取り組みます。

インタビューにご協力いただいた株式会社IHIインフラシステム 柳川さん 植浦さん ありがとうございました!

 

(インタビュー記事:椿 美里)

TOPに戻る

お問い合わせはこちら

システム吊り棚足場協会 事務局