【インタビュー】 最大区間の高架橋の拡幅工事で活用。限られた時間内の架設にも柔軟に対応ができた エム・エム ブリッジ株式会社
今回は 高架橋の拡幅工事を行っているエム・エム ブリッジ株式会社 立石 篤志さん(以下、立石工事担当)、平井 雅人さん(以下、平井工事担当)からお話を伺いました。
【現場情報】
- 現場の特徴:44径間で全長2km(往復4km)、現在2車線で共用する高架橋を4車線に両側拡幅する工事
- パネルの枚数:3.0M 1,246枚、2.0M 1,915枚(現状出荷数)
- 使用機材:ネオベスパ・スパイダーパネル(朝顔のみ)
- 予定仮設期間:2021年7月~2026年9月
スパイダーパネルの採用を決めた経緯
ーースパイダーパネルを採用いただいた経緯について、教えていただけますか
立石工事担当:
今回の工事では、橋脚の拡幅部分でスパイダーパネルを使用しています。
当初の予定では、足場板を組む予定でしたが、それでは手間がかかる懸念があったため、スパイダーパネルの利用を検討しました。
クランプを取れるところが多いので、朝顔のパネルでブラケット処理すれば、早く足場が組めるかなと思い、採用を決めました。
ーースパイダーパネルを採用することで、単管で組むよりもコスト面の負担もあったと思われますが、それ以上のメリットがあったということでしょうか。
立石工事担当:
足場の設置には高架下道路の夜間規制が必要であり、規制時間内に単管で組み上げることが困難な中で、スパイダーパネルを採用することでコの字の朝顔を一夜間で設置できました。
その状況からも、スパイダーパネルじゃないと厳しかったという判断もあります。
平井工事担当:
一晩で組み上げる朝顔のパネル枚数としては、2メートルのパネルが40枚、3メートルのパネルが30枚くらいです。
ーーこの規模を一晩でとなると、たしかに早く組めることが重要になりますね。
立石工事担当:
地上である程度組んでおき、あとは持ち上げるだけでよいのもメリットでした。
ピンを刺せば面にもなりますし、床で地組できるのも時短につながったと思います。
実際にスパイダーパネルを使ってみた感触と使い勝手の良さ
平井工事担当:
スパイダーパネルは他社製品と比べて、クランプを取れる所が多いですよね。
今回の現場は風の影響を強く受ける場所だったため、風荷重を検討してブラケットを多めに取ったりすることも出来たのと、その点は使い勝手がよかったなと感じています。
他のパネル足場を使ったことがないので、他のパネルとの比較はあまり出来ないのですが...…。
ーー平井さんは、初めて使用したパネル式吊り棚足場がスパイダーパネルだったのですね!立石さんはいかがでしょうか。
立石工事担当:
他社製品のパネルだとクランプを取れる所が少ないので、裏側に人がまわる必要があるんです。
単クランプを付けようと思っても、誰かがナットを付けにいかないといけない。あとからクランプを付けられないんですね。単クランプが少ないとスパンも飛んでしまいますし。
ーー安全面で危険な作業が生じるのは避けたいことですね。関連して、架設時に気を配ったところや安全面の留意点についても伺えますか?
平井工事担当:
先ほどスパイダーパネルは地組みができたという話が出ましたが、高所での作業を極力無くすことができたのは、効率面だけではなくて安全面からも良かったと思います。
外側からは分かりにくいと思いますが、内側はブラケット足場をつけた状態であげていました。
足場材を上げる作業もなくなり、時間の限られた夜間工事のなかで他の細かい作業や確認に時間を割くことができたので、架設としては大変やりやすかったです。
ーーなるほど、ありがとうございます。立石さんは他のパネルを使ったことがあると思いますが、スパイダーパネルを使ってみて良かった点を教えていただけますか?
立石工事担当:
昔は限られた選択肢しかなかったので、足場の解体時に折れてしまうなど、事故が多かったですよね。
現状のこのタイプになって、皆が平行クランプで折れることを認識できているから地組みするようにしていますし、一度面で単管を別に組むように変えています。その分事故は減っていると思いますし、朝顔を解体中の事故というのは今はほぼ聞かなくなったのではないでしょうか。
さまざまな現場に対応できる柔軟な組み合わせができるパネルがあると嬉しい
ーーこうした製品があればいいなと思う物はありますか?今回の現場に限った話でなくても大丈夫です。
立石工事担当:
半分のサイズが端部用にあればいいなと思いますね。
現状の660サイズから330サイズ程度の物です。他には、途中で蓋が開けられると便利だと思います。
いまの現場でいうと、測量をするためにパネルを一部外して養生している部分があるんですよね。こうした部分に使える物があれば嬉しいです。
ーーメッシュになっていたり、見えるようになっていれば、こうして外す必要は無かったといえますね。
立石工事担当:
そうかもしれないですね。
縦半分と横半分で取りあうような、柔軟な組み合わせができるようになると嬉しいです。
例えば、ピンの差し替えができるような穴があるとか。オプション品のような、現場に合わせて使い方を変えられるようになると最高ですね。
ーー確かに、製品としてカスタマイズ性があがるとたしかに便利ですよね。
立石工事担当:
タカミヤさんのパネルですと、ピン差しで自在に組み合わせる事も可能ではないかと思います。ぜひ検討して欲しいですね。
足場を組むにも材料への知識や慣れが必要で、組める鳶の方とそうではない方がいますから、スパイダーパネルで統一できると現場も楽ですしね。安全性を考えても、スパイダーパネルは便利だと感じます。
地図に残り、地元の方々に長く使っていただけるやりがいのある仕事
ーー最後にインフラを支えるお仕事に携わっているみなさまに、この仕事のやりがいについて、一言いただけますか?
平井工事担当:
そうですね。やはり、最終的に地図に残る仕事をさせていただいているという自覚を持って当たっています。地元の方々などに長く使っていただくものなので、妥協はできないと思います。
後世に残っていくことを考えて仕事をしていますね。
ーー今回の高架橋も数十年先もずっと使われていくものですし、責任を持って取り組まれていると言うことですね。立石さんはいかがでしょうか。
立石工事担当:
人に喜んでもらえる仕事だと思います。
やっている最中はいろいろありますが、完成すれば多くの方に利用していただける橋になると思いますし、喜んでもらえる仕事ができればいいなと思っています。
ーー私も長崎を訪れるときは、みなさんのつくられた橋を渡りたいなと思いました。本日はありがとうございました!