現場レポートコンテスト2024を開催!受賞した4社が発表

2025年2月14日にシステム吊り棚足場協会の総会を、東京会場とZoomによるLIVE配信にて開催しました。会場へお越しいただいた皆様ありがとうございました。
本投稿では、第6回総会で発表された「現場レポートコンテスト2024」の受賞とレポート発表の様子をダイジェストでご報告いたします。
2025年度も現場レポートコンテストを開催予定です。
ぜひ受賞・参加レポートの内容をご覧頂き、ご応募の参考になれば幸いです。
※ご意見・ご要望などございましたら、事務局もしくは㈱タカミヤの担当営業までご連絡ください。
※写真の保存・無断使用はお控えください。
▶第6回総会のレポートはこちらから
現場レポートコンテスト2024
■現場レポートコンテストとは
システム吊り棚足場の施工事例の共有を目的に、提供されたレポートをコンテストとして表彰するもの。昨年に続き2回目の開催となり、営業支援委員会が主催しております。
▼下記画像は2025年のご案内となりますが、審査の流れは2024年も同様となっております。
事務局が匿名状態でレポートを編集し、営業支援委員会の7人と池田輝次顧問の計8人で審査を行いました。最優秀賞1名、優秀賞3名が選出され、総会当日に提出者様による受賞レポートのプレゼンテーションが実施されました。
▼コンテスト評価の5項目
- より問題を解決した
- より工夫されていた
- より良い資料だった
- よりコストを下げた
- より安全にした
2024年度受賞企業のみなさまをご紹介
2024年の現場レポートコンテストの受賞に輝きました皆さま、おめでとうございます。
総会では表彰と記念撮影が行われました。
- 最優秀賞 株式会社佐々栄建工 佐々木 拓也 様 - 岩手県・道路橋
- 優秀賞 株式会社佐々栄建工 佐々木 拓也 様 - 岩手県・鉄道橋補修工事
- 優秀賞 株式会社 WATANABE 川部 謙友 様 - 宮城県・高速道路改修用吊り足場~拡幅狭幅・朝顔の大組~
- 優秀賞 林工業株式会社 濱﨑 貴志 様 - 東京都・鉄道陸橋のPCB対策工事
▼入賞企業のみなさまの記念撮影(WATANABE様のみオンライン参加)
ご参加いただいた素晴らしい現場レポート
受賞レポート発表の前に、惜しくも受賞は逃しましたが素晴らしい創意工夫と熱意を感じられた現場レポートも4社紹介されました。評価コメントと合わせて本レポートでもご紹介いたします。
皆さま、ご応募頂き誠にありがとうございました。
■ 株式会社佐々栄建工 佐々木拓也 様 (岩手県・県道道路橋)
▼評価コメント
- VMAXを活用した補修工事
- 養生時にシートにシワが一切出ないよう配慮し、目張りも徹底
- 台風の影響を受けながらも安定した足場を構築し、美しい仕上がりを実現
■ 株式会社豊裕工業 齋藤大貴 様 (群馬県・国道道路橋)
▼評価コメント
- スパイダーパネルを用いた吊り足場施工
- ステージ足場とスパイダーパネルの段差をなくし、フラットな作業空間を設計
- パネルの移動負担を軽減し、作業効率を向上
■ 林工業株式会社 横島力八 様 (長野県・高速道路橋)
▼評価コメント
- スパイダーパネルを階段状に配置した施工
- 床面と浅川部分のパネルを段差構造にすることで、作業スペースを効率的に確保
- 作業のしやすさを重視した設計が高評価
■ フクムラ仮設株式会社 佐藤準也 様 (福井県・国道道路橋)
▼評価コメント
- VMAXを活用し、当初設計よりも広い床面を構築
- 資材搬入や作業員の移動をスムーズにする工夫が施され、現場の利便性が向上
現場レポート受賞者 登壇
優秀賞 林工業株式会社 濱﨑 貴志 様
東京都・鉄道陸橋のPCB対策工事 133pt
【現場概要】
橋長:62m(2径間の長さ、施工部は46m)
幅員:25.2m~27.8m
構造:鋼単純合成箱桁橋
施工上の課題と工夫
中央陸橋の補修工事では、図面の計画通りにVMAXを設置できない場面があり、施工計画を見直す必要がありました。特に、橋の構造上吊り元がない箇所があったため、当初予定していた吊り足場の設置が困難に。
そのため、VMAXに加えIq足場を活用して柔軟に対応する方針に変更しました。
また、施工エリアは交通量が多く、車両の往来に配慮しながらの作業が求められました。建築限界のギリギリに作業床を設置し、安全対策を徹底しながら足場を組み上げました。
▼施工後の様子
▼施工前と施工後の比較
施工前と施工後の写真を比較すると、VMAXを設置できる箇所では最大限活用し、吊り元のないエリアはIq足場で補完する形で工事が進められました。
解体時には、床の一部分に開口部を作り、効率的で完全な撤去を実施。特に、線路に近い箇所では慎重に作業を進め、事故を防ぐための安全対策を徹底しました。
優秀賞 株式会社 WATANABE 川部 謙友 様
宮城県 高速道路改修用吊り足場 〜拡幅狭幅・朝顔の大組〜 133pt
【現場概要】
・橋長:L251.00m
・幅員:W22.90m
・構造:鋼桁
施工上の課題と工夫
この現場では、橋の幅が部分ごとに異なるため、足場の設置に工夫が必要でした。
また、夜間作業であったため、視界の確保が重要になり、照明を駆使しながら高所作業車を使用する計画が立てられました。主体足場を取付けた後、スーパーデッキでアサガオの取り付けを行うため「大組工法」を採用しました。
朝顔の設置についても、橋の形状や周辺環境によってクレーン車での吊り上げが困難な場面がありました。
そこで、吹き上がり防止パイプを活用し、足場の安定性を確保する工夫が取り入れられました。
施工後の評価
施工後は、隙間埋めにパネルやコンパネを活用し、スムーズな仕上がりを実現しました。
施工現場の写真を見ていただくと分かるように、足場の設置精度が高く、作業効率の向上にも貢献できたと思います。システム吊り棚足場の利点を活かし、短期間かつ安全に施工が完了しました。
▼高所作業を減らし、より安全でスムーズに
優秀賞 株式会社佐々栄建工 佐々木 拓也 様
岩手県・鉄道橋補修工事 135pt
【現場概要】
橋長:107.3mm(補修距離88m)
高さ:17.8m
歩廊巾:1200
構造:鉄道橋
施工上の課題と工夫
今回の現場は地元の方から愛される観光地。当初は在来工法での施工をご依頼されましたが、美観の維持やさまざまな要因を考慮した結果、VMAXでの施工を元請様へ提案し了承をいただきました。
施工時には近隣の住宅地への騒音対策にも配慮する必要がありました。
電動工具の使用やユニック車の荷降ろしは還俗禁止などの条件があったため、作業員はすべて手作業で対応。作業員一同が、ジェスチャーで作業を進める姿は斬新な様子でした。
おやごの設置では、仮吊りを活用しながら慎重に施工し、安全性を確保しました。
施工後の状況
VMAXでの施工ができたおかげで、シートを張った際に少しのたわみも無い引き締まった足場の設置を実現。足場を覆うシートも新品のシートを使用し、徹底的に美観を損なわない対応を徹底しました。
▼足場がある状態でも美しい景観を損なわない工夫
施工の様子は地元住民の皆さまにも注目され、InstagramなどのSNSでも話題となるほど関心を集めました。施工写真を見ていただくと、足場の設置が景観に溶け込むように工夫されている点が分かるかと思います。
お陰様で元請様からも大変評価して頂き、VMAXへの好感度も上がったと確信しております。
▼施工完了後の様子
最優秀賞 株式会社佐々栄建工 佐々木 拓也 様
岩手県・道路橋 141 pt
▼本レポートの講評コメント
最優秀賞に輝きました本現場レポートは、コスト削減・安全対策・分かりやすさの3点で高評価を獲得。
現場状況を詳細に調査・分析し、最適な施工方法を検討。高所作業車の活用によるコスト削減策の提案など、コスト削減と安全対策を両立する取り組みが評価されました。
また、過去に労働災害が発生した現場において、作業員の安全を優先した施工計画。レポート自体も見やすく、わかりやすい構成となっておりました。
【現場概要】
・橋長:48.9m+97m
・幅員:12m
・構造:単純鋼非合成箱桁+3径間連続非合成鈑桁
施工上の課題と工夫
この現場では、施工場所の周辺には学校や観光地が存在し、さらに通学路に隣接していたため安全対策を最優先とする必要がありました。
現場を確認した結果、弊社から市の路線バスの転回場所を活用することで、片側通行規制を撤廃。さらに、高所作業車を活用することで橋の両側に存在した鉄柵の撤去を不要にし、費用の削減・施工スケジュールの短縮をご提案しました。
▼組み立ての様子
施工後の評価
関連施工業者とも協力し、BOX桁の径間組立後、残りの径間は床材を先行して全径間床組立。その後、人員を増員して板敷をしました。限られたスペースの中で、材料の保管・配置を最適化し、施工効率を向上できたと思います。解体時も計画的に進めることで、安全性と作業効率を両立。
施工後は、プロのカメラマンによる撮影も行われました。
VMAXの活用による施工のスムーズさ、美観性や安全性などを踏まえ、元請け企業からも高い評価を受けました。
以上が、現場レポートコンテスト2024の受賞者の皆さまの内容をダイジェストでご紹介しました。
コンテスト総評 石田 英司 様
全ての発表を終え、石田英司様より現場レポートコンテストの総評を頂きました。
受賞者の皆様、そして今回エントリーされた皆様、おめでとうございます。
各レポートを拝見し、現場ごとの課題に対して創意工夫を凝らしながら、難易度の高い施工をやり遂げていることが改めて伝わってきました。
特に、夜間作業の現場では、限られた時間と厳しい環境の中で、安全性を確保しながら効率的に作業を進める工夫が随所に見られました。他の施工事例と比較することで「こうすればよかった」という新たな学びが生まれるなど、現場での知見が共有されることの重要性を再認識いたしました。
また、東北の夜間作業では、厳しい寒さの中での施工がどれほど大変か、実体験を通して共感できる部分もありました。こうした実際の施工経験を共有することで、今後の現場改善や技術向上にも繋がると感じています。
2025年のコンテストにも、多くの方にエントリーしていただき、それぞれの現場での工夫や技術を共有していただければと思います。
現場レポートコンテスト2024開催を終えて
現場レポートコンテスト2024にご参加いただき、誠にありがとうございました。
本コンテストを通じて、多くの現場における施工の工夫や安全対策、効率化への取り組みが共有されました。
どのレポートも、施工上の課題に対する創意工夫や技術的な工夫が随所に見られ、実務に役立つ内容ばかりでした。この取り組みは、業界全体の知見向上につながる貴重な機会となりました。
ご応募いただいた皆様、そして受賞された皆さまに心より感謝を申し上げます。
本コンテストが、日々の施工の質を向上させ、安全な現場作りの一助となれば幸いです。
引き続き、現場レポートコンテストを含む協会の活動へ、より多くの皆様にご参加いただき、現場での知見を共有しながら、さらなる技術向上を目指して参ります。
次回のコンテストへのご参加も、心よりお待ちしております。
また2024年から始まりましたSSAアワードについては、総会全体のレポートにてご紹介しております。
昨年の協会や会員様の取り組みをまとめたレポートとなります。ぜひこちらもご覧ください。
▶第6回総会のレポートはこちらから