SSAマガジン

【インタビュー】図面だけでは解決できない難所に挑む。現場力×新型足場が切り開く施工革新 株式会社小野工業所・有限会社佐藤企画

今回は、システム吊り棚足場協会 正会員の、有限会社佐藤企画 代表取締役 佐藤 憲一様(以下、佐藤社長)(写真:右)、株式会社小野工業所の只野 瑞希様(以下、只野主任)(写真:中央)に、Rと勾配が重なる特殊な橋梁現場での施工対応やVMAX+Iq Systemの活用についてインタビューを行いました。また、今回、東北支部会にて、現場見学会および意見交換を実施し、現場の最前線で活躍する会員様とメーカー会員である株式会社タカミヤが「生の声」を交わすことで、次世代の足場開発につながる新たなアイディアを生みだす有意義な時間となりました。

【現場情報】

    • 現場の特徴 :曲線(R)と勾配がある複雑形状
    • 工事内容  :橋梁補修工事・塗装工事
    • 元請業者  :株式会社小野工業所
    • 使用機材  :VMAX+Iq System
    • 足場組立日数:74日(実作業48日)
    • 予定架設期間:8か月間(足場組立・解体期間を除く)

左から宍戸所長(1工区・インタビューはご欠席)、只野所長(2工区)、佐藤社長

図面だけでは解決できない「Rと勾配」の難所

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは、小野工業所の只野主任におうかがいします。小野工業所様は、特に橋梁の保全・修繕に注力されていますが、今回の現場で特に特徴的だったポイントを教えてください。

只野主任:
まず、「R(曲線)」がかかっている上に勾配がかかっている点です。当初の計画もありましたが、実際に組んでみると片方がせり上がっており、段差をつけないと桁下が高すぎて断面修復の補修作業ができなくなってしまう。そのため、施工しながら随時、足場の図面を変更して対応しました。やり始めてから初めて問題が見えてくる、という状況の連続でしたね。

ーーそうなんですね、Rと勾配が重なる現場というのは、やはり珍しいのでしょうか。

佐藤社長:
上下左右で形状が違うことはよくありますが、今回は途中まで同じで、そこから一方がまっすぐ、もう一方が800mmほど上がっていくという特殊な形状でした。こればかりは図面の上だけでは解決できません。今あるシステム機材を使いながら、いかに現場に合わせるか。まさに「現地合わせ」の施工力が試されました。

只野主任:
縦にも横にも勾配がついているケースは本当に稀です。図面の書き直しも多かったと思います。

 

ーーなるほど、施工しながら現場に合わせて図面の書き換えや組み方を細かく工夫されていったということですね。(株)タカミヤの技術担当も、今回の現場はこれまで使ったことのない部材を組み合わせるなど、珍しい試みが多かったそうで、非常に刺激を受けていました。

 

次世代足場「Iqシステム」と「VMAX」がもたらした機動力

ーー佐藤社長にお尋ねします。今回、この現場の足場工事の打診を受けて、まずどのような点が計画のポイントになるとお考えでしたか?

佐藤社長:
現場では、計画のポイントを随時「こうしよう、ああしよう」と試行錯誤しながら変更していきました。今回は、パイプ構造ではなく直接連結させたかったとの新型を取り入れるという点を考えていました。実際に現場の難所を攻略する鍵となったのが、タカミヤの次世代足場「Iq」と「VMAXシステム」の組み合わせです。進化したIqは、パイプだけではなく、システム吊り棚足場「VMAX」と直接連結できるため、吊り足場の安定感が抜群でした。一時は部材供給が危ぶまれた状況もありましたが、タカミヤの営業さんも疾走してくれて乗り越え、予定通りの体制を整えることができました。

(株)タカミヤ 古内所長:
こちらの勉強不足もあり、何度も現地で確認し、理想の形にするまでに時間がかかりました。

佐藤社長:
私は、「新型」の採用に拘っています。2011年の震災後にIqを購入しましたが、車と一緒で、足場もモデルアップしていきたいと考えています。なので、システム吊り棚足場とも連結できるようになった点は採用の決め手でした。さらに「R(曲線)」への対応力。橋脚周りはどうしても隙間が空きやすいのですが、伸縮装置を駆使してぴったり合わせることができました。

 

現場の「知恵」が生んだ環境対策と安全性

ーーほかにも拘った点や心掛けた点はございますか?

産業廃棄物を出さないことです。通常、現場では「仮囲い」などのゴミが出ますが、今回はプラットウォールという材料を使いました。これに自社でカットしたプラバンを貼って使いました。
日中、平らなところでも中が明るいんです。ただ、防炎シートを張ると暗くなるのでそこは工夫が必要でした。プラットウォールを採用した理由として、音の問題もありました。
住宅地ではないですが、やはり作業音は抑えたい。そこでプラットウォールを提案して使わせてもらいました。

ーー細やかなところまでこだわりをもって工夫されていることがとてもよくわかりました。

 

佐藤社長:
アイデア出しを繰り返して、楽しい現場でもあった。やはり知識がないと手間が増えますから、カタログを見たり資料をひっくり返して勉強しました。
地面に置いて検証もしました。いいものは積極的に取り入れたほうが現場の為にもなりますし、安全な施工にも繋がると考えています。

佐藤社長:
例えば、荷取りステージの吊り金具については、当初はチェーンを検討していましたが、コンクリートの経年劣化やアンカーの強度を考慮して、挟み込み式の金具を注文しました。
当社としてもとても勉強になりました。
今回の現場見学会もそうですが、やはり現場の声を吸い上げられるのは協会とタカミヤのいいところだと思います。
他社の意見もすごく大切ですし、座りこんで「ああでもない、こうでもない」と議論した時間は本当に貴重でしたね。

ーー様々なメーカーの部材を調べて検証も重ねた結果、ここまで美観が保たれた現場が出来上がったんですね。
その場で会員の皆様が意見交換ができる現場見学会の機会は協会としても、とてもありがたい時間だと感じています!

次世代足場「Iqシステム」と「VMAX」がもたらした機動力

ーー実際に「Iq+VMAX」を採用されて、使用感としてはいかがでしたか?

佐藤社長:
明らかに工程が早かったです。隣の工区では1800ピッチの旧型を使っていますが、こちらの現場では新型の「Iq+VMAX」を使いました。
Iqは叩いていくだけなので、トータルで4~5日の工期短縮になりました。5人で5日分、つまり25人工浮いた計算です。

(株)タカミヤ 古内所長:
1800ピッチよりも1219サイズの方が部材が増えるので大変かと思いましたが、それでも早まるというのは正直驚きです。

佐藤社長:
先送りできるかどうかが重要です。1800だと手が届きにくく、危険な体勢での作業になりがちですが、1219なら職人の手がしっかり届く。
安全性が高いから、結果としてスピードも上がるんです。工程こそが現場の命。浮いた日数があれば、不測のトラブルにも対応できますから。

ーー佐藤企画様はスパイダーパネルも保有されているかと思いますが、VMAXも実際に使ってみていかがでしたか?

佐藤社長:
チェーンピッチが広いのがいいですね。歩きやすいです。
塗装の現場では、足場が歩きやすいだけで作業効率が全然違います。養生のしやすさも含めて、助かっています。

「大学での学びを無駄にしない」、現場所長を支える、地道な継続と縁

ーー橋梁現場の第一線でご活躍されている只野主任ですが、この業界に進まれたきっかけを教えてください。

只野主任:
記事にできるか分かりませんが。(笑)実はとても単純な理由なんです。大学でコンクリート工学や構造力学などを学んでいたことがきっかけでした。
正直、なりたいものが何もなかった時に、大学で学んだ頃を活かせなければ大学に行った意味がないと思って、だんだん土木関係の仕事に絞っていきました。
最初は全く関係ない業種も見ていました。(笑)

佐藤社長:
只野さんが入社して初めての現場も当社が担当でした。
初めて現場を任された際も当社が担当でした。ずっと一緒にやってきてるんです。(笑)

只野主任:
(佐藤社長が)いないときがないですね!(笑)

ーー長きにわたる信頼関係が垣間見えますね!

職人の「信頼」を繋ぐ技術の継承

ーー最後に、今後の展望を教えてください

佐藤社長:
現場での顔は、現場代理人(職長)です。

元請様には、現場代理人を「〇〇さんに任せたい」と指名してもらいたいです。
又、現場の所長、担当監督が常駐しなくてもよい信頼関係を築き、安心して任せていただけるような、そんな存在でありたいと思っています。

 

システム吊り棚足場協会について

佐藤社長:

開発チームの皆さんにももっと現場に来てほしいですね。開発チームの目から現場を見て、「これならこうできる」というスピード感をさらに上げてほしい。
私たちは良いもの、安全なものにはお金を払います。現場の声を吸い上げた製品が、また次の現場を支える。そんな良いサイクルを、これからも一緒に作っていきたいですね。
良い機材があっても、現場で使いこなせなければ意味がない。逆に、現場の苦労を知れば、もっと良い機材が生まれる。
今回のように、メーカーの開発チームが現場の泥臭い部分を共有してくれる姿勢こそが、今後の建設業界を良くしていくと信じています。

ーーありがとうございます。
今回いただいたフィードバックをもとに、さらに存測な製品化と改善を進めていきたいと思います!本日はお忙しい中貴重なお時間をいただきありがとうございました!

 

発注者の福島県様、元請けの(株)小野工業所の皆様、(有)佐藤企画の皆様、東北支部会員の皆様、ご協力をいただきありがとうございました!

 

事務局より

図面通りにはいかない「Rと勾配」の難所。そこを乗り越えたのは、最新の機材だけでなく、現場で知恵を出し合う現場の皆様と、それに応えるメーカーの担当者の絆でした。
また、単なる発注者と受注者の関係を超え、より良いインフラを守るための「パートナーシップ」が、この橋を支えているのだと感じさせられる取材でした。
インフラを守る「現場のプライド」を強く感じる取材となりました。

会員の皆様と協会スタッフと「現場で座り込んで議論する時間が良かった」とのお話がありましたが、事務局としても大変ありがいた機会であったと感じております。
今後も現場の皆様が安心して施工できるよう、開発委員会と連携し、協会全体で取り組んでまいります。
当協会では、推奨製品の組み立て動画や現場インタビューなど吊り棚足場に関するコンテンツを多数掲載しております。是非ご覧ください。

 

(記事:システム吊り棚足場協会 事務局)

TOPに戻る

お問い合わせはこちら

システム吊り棚足場協会 事務局