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【インタビュー】「部分最適」から「全体最適」へ。 PFI時代の橋梁維持管理とシステム吊り棚足場への期待 株式会社長大

今回は、橋梁をはじめとするインフラ分野で国内外に数多くの実績を持つ株式会社長大 構造事業本部 福岡構造技術部 主幹技師 藤木 剛様、構造事業本部 福岡構造技術部 課長 梯(かけはし) 誌修様にインタビューを実施しました。

高度経済成長期に建設された橋梁の老朽化が進み、維持管理の重要性が高まるなか、設計・点検・施工の関係性にも変化が生まれています。
当協会顧問 池田氏による勉強会をきっかけに実現した今回の取材では、橋梁維持管理の最前線で活躍されるお二人に、現在の課題やシステム吊り棚足場への期待についてお話を伺いました。それぞれの視点から語られた言葉をお届けします。

 

【会社概要】

  • 会社名 :株式会社長大(CHODAI CO., LTD.)
  • 創業  :1968年
  • 事業内容:橋梁・道路・交通・都市計画・防災・環境分野における総合建設コンサルタント
  • 主な業務:調査、計画、設計、維持管理、マネジメント
  • 特徴  :国内外のインフラプロジェクトを展開し、橋梁分野では高い技術力と豊富な実績を保有
  • 注力分野:インフラ長寿命化、DX・AI活用、PPP/PFI事業、海外インフラ事業
  • 本社  :東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目20番4号
  • 公式サイト:https://www.chodai.co.jp/

左から藤木様、梯様

橋梁設計から維持管理へ。変化するコンサルタントの役割

「コー・クサック・トンレア橋梁建設事業」 完成イメージ図 ※長大様 公式サイトより抜粋

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは、お二人のご担当業務について教えてください。

藤木様:
私自身は橋梁の設計業務を中心に携わってきました。
新設橋梁の予備設計や詳細設計を行う一方で、近年は橋梁点検や補修補強設計の業務も大きな割合を占めています。
高度経済成長期に建設された橋梁が50年を超え、維持管理が重要なテーマとなっています。点検によって損傷状況を把握し、必要な補修設計を行う業務が増えています。

梯様:
今の藤木さんの話の通りで、うちの部署である構造事業本部がやっていることは概ねその内容かなと思います。
会社自体は総合コンサルなので、道路計画からまちづくり、環境、環境調査、都市計画、交通計画など、かなり幅広い分野のコンサルティングを行っています。
その中で私たち構造事業本部は、橋梁をはじめとした構造物分野を担当しています。
会社としては国内だけでなく海外事業も展開しており、近年は海外案件も再び活発になっています。

「自分の担当だけ」ではなく、全体を見る時代へ

ーー今回、池田氏の勉強会を実施いただいた背景を教えてください。

藤木様:
今までの設計業務の中では、足場というのは「仮設備」という扱いでした。
積算上、足場面積を計上しておけば、その先の具体的な計画は工事会社さんがやるという考え方ですね。
ですから正直、足場のことを深く考えることはあまり要求されていませんでした。
でも、ここ数年で状況が変わってきています。
最近では、橋梁の維持管理を対象としたPFI事業も進んできており、これは点検や補修設計だけではなく、その先の工事まで含めて責任を持って包括的に進める事業なんです。
コンサルタントとしても、今まであまり詳細に考えなくてもよかった施工管理や安全管理までしっかり理解しておく必要があると考えており、
非常に多くの施工や施工管理の実績等をお持ちの池田様に勉強会をお願いした次第です。

 

ーー勉強会を終えてみていかがでしたか。

梯様:
普段聞く機会がない話ばかりでした。
コンサルの業務からすると次のステップの話なので、非常にためになりました。
通常は業務委託で頂いた各種設計までが私たちの範疇になるのですが、PFIになると工事までが範疇になるため、より広い知識が必要なります。

 

ーー当協会も同じく、メーカーだけでなく、貸し出す方、組む方、使う方がいて成り立っています。ですが、それぞれの役割や立場を理解していないと、本当に良いものはできないと感じています。そこはインフラ維持管理の世界と同じですね。

梯様:
そうですね。どの視点が抜けても難しくなりますからね。

「架け替える」から「延命化する」時代への変化

ーー近年の長寿命化の流れの中で、橋梁の点検や補修計画において、どのような課題を感じていらっしゃいますか。

藤木様:
昔の橋は、維持管理まで考えて設計されていないものも多くあります。
現在は、道路橋示方書にて維持管理を考慮した設計が規定されていて改善されていますが、
過去に造られた橋の中には、塗り替え作業が難しい狭い箇所に部材が配置されている構造もあります。
そういった橋を、いかに延命化していくか。そのためにどの工法を選定するかが非常に難しい課題だと感じています。

第二回:「素地調整の品質確保と作業環境の実態 ※勉強会資料抜粋

梯様:
補修については、単に損傷した箇所を直すだけではなく、同じ損傷を繰り返させないための工夫が重要だと考えています。
また、塗装の塗り替えにおいても、設計段階では塗装範囲やケレン方法の選定まで行いますが、
その先の施工管理や品質管理まで含めて考えることが、今後ますます求められていくと感じています。

求められるのは「ライフサイクルコスト」の考え方

三島スカイウォーク-地方創生・地域活性化の取組み- ※長大様 公式サイトより抜粋

ーー発注者から求められる内容にも変化はありますか。

梯様:
人手不足が課題となっていますので、「省力化」は求められます。コスト削減は今も昔も変わらないですね。

藤木様:
昔はコスト削減、コスト削減と言われていましたが、
今は、維持管理をきちんとやりましょうという方向に変わってきています。
多少お金が掛かっても、将来を見据えてちゃんと投資をした設計やものづくりが求められるようになっています。

梯様:
もちろん経済性は大切ですが、イニシャルコストだけではなく、ライフサイクルコストも考えるようになっていますね。

 

ーー新しい工法や技術について、発注者からの要望はいかがでしょうか。

藤木様:
ありますね。
詳細設計の中でも、新工法を選定することが求められています。
従来工法と新工法を比較して検討することは、今では当たり前になっています。

梯様:
良い技術があっても使われなければ埋もれてしまいますから、
新しい技術を少しずつでも採用していこうという考え方は、どの管理者も持っていると思います。

システム吊り棚足場への期待と今後の可能性

ーーシステム吊り棚足場についてどのように感じていますか。

梯様:
一般的な吊り足場で施工可能ができるような状況では正直あまり感じないですね。
実際に使うかどうかは施工会社さんの判断になる部分もありますので。ただ条件によっては、システム足場を前提に検討することもあります。

 

ーーシステム吊り棚足場についてどのように感じていますか。

藤木様:
安全性や施工性に優れている印象があります。
また、維持管理のしやすさというのは業務の中でも明確に求められており、新設段階からそういったことを考えて設計しています。
橋梁の構造によっては、システム足場を使う前提で維持管理計画の中に盛り込むということは十分あり得ます。
作業空間も広いですし、工事はしやすいですよね。通常足場では入れられないような部材を扱うケースもありますので、そういう面ではシステム足場の需要はあると思います。

 

ーーもっと足場がこう変わってくれたらいいなと思うことはありますか。

梯様:
足場は絶対必要なんです。ただ、足場ってやっぱり(コストが)高いんですね。
安全性を確保した上で、少しでも経済的になっていくといいなというのはあります。

あと、やはり足場の中って暗いんですよね。
高さの制限もありますし、移動もしづらい。
橋の下面から足場まで60センチくらいしか空いていない場所を移動しなければならないこともあります。
そういったところが改善されると現場環境も良くなりますし、私たちも助かります。

ブラスト工事の後なんかは特に大変なんです。防塵養生などももう少しシステム化されて、ワンタッチで設置できるようなものがあるとありがたいですね。
私たちは足場の専門ではないので、「そんな方法があるんだ」と驚くことも多いんです。

100年先の橋を守るために

※画像は橋梁維持管理のイメージとし生成したもので、実在する橋梁・場所ではありません

ーー最後に、橋梁維持管理の将来についてお聞かせください。

梯様:
将来的には道路なくなりますよね?空飛ぶ車で。(笑)
それは先過ぎますか。(笑)

藤木様:

それは先過ぎますね。(笑)

今後も「物流」はなくなりません。
昔は30年や50年を想定して造られた橋も多かったんです。でも今は100年の時代です。
ただ、100年経ったから架け替えましょうとはなかなかいきません。

特に離島などでは、代替えルートがない橋梁もあります。
だから延命化をしながら使い続ける時代になると思います。
そのためには、きちんとメンテナンスをしていくことが重要です。
AIやドローンなどの新技術も活用しながら、効率的な維持管理を進めていく必要があると思っています。

事務局より

今回の取材を通じて印象的だったのは、「部分最適」から「全体最適」へという考え方でした。
PFI事業に代表されるように、点検・設計・施工・維持管理を一体で考える時代が到来しています。
その中でシステム吊り棚足場も、単なる仮設設備ではなく、橋の延命化や維持管理を支える重要なインフラとして期待されていることが分かりました。
今後も当協会では、設計・施工・維持管理に携わる皆様との対話を通じて、より安全で効率的なインフラ維持管理に貢献してまいります。
藤木様、梯様、この度は貴重なお話をありがとうございました。

当協会では、推奨製品の組み立て動画や現場インタビューなど吊り棚足場に関するコンテンツを多数掲載しております。是非ご覧ください。

 

(記事:システム吊り棚足場協会 事務局)

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